《MUMEI》
早くも、告白
-

俺たちはまだ、


辺りには誰も見当たらない昇降口で


雨が弱まるのを待ってた






「恋愛…恋愛ねぇ」

秀一は腕を組んで


「佑二はさ…」

俺と目を合わせないまま

「同性愛ってアリだと思う?」

訊いてきた





俺はドキッとしたよ。そりゃ


心ん中

見透かされたんじゃないかって。







俺が何も言えないでいると

秀一は慌てた様に

「い、いや…あの、ダチにそういう奴がいてさ」

取り繕った




「アリだろ。」




俺はどんな表情、してたんだろ


「本気で惚れたら、仕方ないさ」




俺は

「だよな。…?」

空を見たまま微笑んだ秀一の

左手首を掴んだ


秀一の瞳は目に見えて

動揺に揺れてた







俺は



「…俺、秀一のこと好きかもしれない」





言ってしまった













狙ったように不意に、







雨が弱まり始めた

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