《MUMEI》 筒小さな頃に夢中になって見つめていたものはなんだったろう。 ストローの中、 望遠鏡、 トンネルの入口、 どれもどきどきした。 今の私の最も気に入っている筒はステンレスのトイレットペーパーの芯程度の筒だ。 ある日、鞄にあったそれをついつい私は覗いてしまう。 ところで、私は観察日記をつけるのが好きだった。 なので、また再開してようと試みている。 朝顔は実家にあるから無理、 今の観察日記は 「菱田教授」について。 授業が終わると菱田教授は決まった自分の研究室と化した教室に移動する。 教室の壁に穴が空いていて、そこから私は菱田教授を観察する。 筒の中で菱田教授は三杯目の珈琲を注いだ。 前へ |次へ |
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