貴方の中の小悪魔
を知る神秘の占い

《MUMEI》
帰途/2
「あ、照れてる?」

「まさか」


夕陽に顔を向け、サチから視線を外した。
いつもそう、急にあんなこと言わないでほしい。反応できない。

そんな私の心情を知ってか知らずか、サチは手をほどき二歩前を歩きはじめた。


「ふーん、そっか」


声が笑ってるよ、サチ。後ろ姿しか見えないけど、絶対に嬉しい時の顔してる。

私はぎゅっと唇を結んで、ただ黙ってサチの後ろを歩いた。『この子の明日が幸せでありますように』とこっそり祈ったのは秘密だ。





こんな何気ない会話をしてるこの日々こそ、幸せだったのだと、後で気付く。

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