《MUMEI》
喧騒モーニング
小鳥がさえずり
朝を告げる。

「はぁ…」



始まる高校生活

新しい友達

しかし圭祐のため息が
止むことはない。


ランプの見習いとやらと不思議生物は当たり前の様に家に居座っていた。

「早くラビリンス攻略して帰ってきてよ父さん!」

懇願もしたくなる。

―その後、父はガイドマウスを開発し伯爵の地位を貰うのだがそれはまた別の話だ。



「早く何か願いゆってよー!」

とラズが言う。


「じゃ金が欲しい」

即答で夢のないことを適当に答えておく。

正直信用してないし。



「夢のない男だの」

と黒いウサギに即答される。



「おっけ、まっかさっれたー♪」




嬉しそうに微笑むラズ。

こうして見てると可愛いんだけど…

「何をいやらしい目線を送っておるかこの愚か者!」



ビリビリッ





「い゛だい゛っ!!」





電気ショックの様な一撃が体中に走った。



「な、何すんだ!」

モンブランの尻尾にはまだパチパチと帯電している音が聞こえる。




「じろじろラズ様を見渡すでない、この変質者がっ!」


またしても立ち上がり怒りを露わにしていた。



「人生バラ色じゃなかったのかよ…」

落胆。
どうせこんなことだと思っていたが。



「この空気がっ地味男がっ童貞がっ!」





「そこまで言うなよぉっ!!!」



どうしよう。泣きそうだ。

助けてくれラフメイカー…









その騒がしいやりとりの中

ラズは初めて見せる真剣な面持ちで
何やら呪文を唱えているように囁いていた。




手の辺りが青白く光っている。


「やっぱ…本物なんだな…夢じゃないんだな…」



願い事や内容はともかく

羽が生え空を飛び喋り電気を放つ憎たらしい黒ウサギ

呪文

青白く光る手



そしてトラックに轢かれたにも関わらず

生きている自分





現実に起こっている出来事だと認識せざるを得ない。




圭祐はその姿を見つめながら

茫然としていた。

今度は電撃は飛んでこなかった。

真面目に呪文を唱えているのを集中し見つめていたからだろうか。

黒ウサギのモンブランもラズを見つめ

少し心配そうな表情をしていた。






−やがて光が収まる。









「ふぅっ」




ラズが息をつく。
少し疲れている様子だった。



「かーんぺき♪」



「お見事です!」

モンブランが拍手する。




「え…金が降ってくるのか?」

状況が飲み込めない。




「うんっ♪」


笑顔でラズが答える。



その瞬間











ごすんっ!











家の外から鈍い音が聞こえた。



「な、なんだなんだ!?」

慌てて外を見渡すと

そこには…





たくさんの かね が うまっている







古いRPGの様な文体が頭を過ぎった。





「こ、これ…」




絶句してしまう。












「鐘だよおぉぉぉ!!」














またしても絶叫してしまった。

「へ?」

とラズがきょとんと首を傾げていた。















『本日朝、○×市の各寺から鐘が突如なくなっているという不思議な事件が―』





―その日、そんなニュースが流れるのはもう少し先の話だ。

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