《MUMEI》
思惑、晩餐
そしてあっと言う間に
晩餐会の時刻、6:00となった





「もう少しで馬車がこちらに付くそうです」


「そうか、もう6:00だというのに呑気なもんだな…時間すら守れないのかシュール子爵は」






ルワンの言葉に苦笑いをする
世話係のシャルドネ






「そういえば、アイツはどうした?アークリィーは…」


「それなら只今、着替えをなさっています。少々手こずってまして」

「そうか」


「……お言葉ですがルワン様、なぜたかだかメイドの分際を親族に?しかもアークリィーなどを…あなたにはアンジェラ様という妹様がおるではないですか!私は心配ですぞ」


「アイツの仕事は今晩の晩餐会などではない。もっと裏のことだ」

「まさか、シュール子爵なにかおありで?」


「ふんっ。しらじらしいなシャルドネ、気付いてたんだろう?わざと僕にこんな行動をさせるようわざわざ晩餐会まで開いて」


「私はもう老いぼれですぞ?若い頃と違い鼻が効かなくなりました。シュール子爵が何をなさったのか検討がつきませぬな」


「ふん。道化役者め…まぁいい、自分の欲をあたりに撒き散らし、目の前を飛び回る害虫は踏み潰すしか方法はないだろ」




まだ15歳だというのに
そこには純粋さはなく情も与えない酷さだけ…



それはまるで…
なにもかもを食い散らかしては
また何処かへ飛び回る



カラスのよう……




「結構なご趣味で」

「お前が言うな」




すると突然、部屋の内線電話が甲高く鳴った




ガチャッ
「なんだ」


すると向こうから



「やっほー♪アンソニちゃんでーす。ルワンさんでーすか??」


「あぁ。さっさと用件を言えバカが」

「酷い!酷過ぎるんじゃない!そんなこと言う奴は縛っちゃうゾ☆」


「……………」

「嘘嘘嘘ッ!!冗談だから!マジのドン引きしないでくれる!?」


「はぁ…さっさと用件を言えと言っている」





やっぱり解雇にしとけば良かったのかもと
溜め息混じりに頭を抱える





「やっと、アークリィーの準備出来たから報告に」


「わかった。じゃあ東方面の待合室にいけ、僕も向かう」

「オッケー♪♪」




そして静かき受話器を置く



「行くぞ、シャルドネ。ついでに僕のコートも持って来いよ」


「緑のほうですかな?」

「黒いほうのだ」


「しかし、これは少しでかいのでは??」


「かまわん、こっちのほうが着心地がいい」


「先代の愛用していたコートですからね」

「黙れ!」




ルワンはシャルドネを睨む



「では何故これをずっとおもちで??」



「言っただろ、ただ………着心地がいいからだ」






そう言って重厚なドアを
細い腕で開けていく

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