《MUMEI》
嘲る
私の背中には鳥の形をした、痣がある。
その痣があるとき私の左頬から顎を通過した、
いや、私の体を飛び回っているのだ。

普段は痣なのだが、私が鏡で前髪を直したりすると悪戯っぽくあちこち飛ぶのであった。
奇妙だと思ったのは最初だけで馴れてみれば可愛いものだ。

今はちゃんと躾てあるので、勝手に動かないし、私の指示で左指先から右指先まで渡らせることも出来る。

ただ、一羽だと寂しいと思ってペンでもう一羽鳥を描いた。
痣は嬉しそうに私のラクガキの周りを飛び回っていた。


次の日、私の体中には原因不明の痣が大量に出来た。

私が描いたラクガキのせいで繁殖してしまったのだ。

ラクガキは跡形も無く消した。
薬で痣も無くなった。
私の背中には一羽、寂しそうに鳥が留まっている。

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