《MUMEI》
愛撫
焦る美里を見て、夜月は興奮した。
「かわいい!」
まさかのまさか。胸にキスの嵐。美里は激怒した。
「やめろ、テメー、やめろよ、そういうことは!」
夜月に脅しは効かない。舌で胸を攻めながら、手はもう片方の胸やおなかを容赦なく触りまくる。
「貴様、警察を舐めるな。許さないぞ…あっ!」
不意打ちに膝で秘部を刺激された。美里は真っ赤な顔で怒鳴りまくる。
「テメー、やっていいことと悪いことの区別もつかないのかよう!」
だが夜月はひたすら上下から攻め立てる。美里は腰を動かして膝から逃れようとしたが、両手両足を拘束されている身では、されるがままだ。
「やめなさいよ、こういうことは。あたしと会話がしたかったんじゃないの!」
夜月は攻撃をやめると、美里の乳首を直視した。
「美里。これはどういうことかな?」
「うるさい」
「ダメだよう、犯人の愛撫で女刑事が乳首立てちゃあ」
「黙れ!」美里は殺意の目で怒鳴った。
「警察は証拠を重んじるだろ。これは、あたし感じちゃいましたって証拠じゃないのか?」
「それ以上喋ったら殺すぞ」
美里が睨むと、夜月も怖い顔で睨む。美里は目をそらさない。二人は睨み合った。
「美里。手足縛られてるんだから、もう少し言葉に気をつけな」
美里は内心焦ったが、言い返した。
「あなたこそ、神経を逆撫でするのはやめなさいよ」
「ここを逆撫でされるよりはましだろ」
夜月は、容赦なく美里のいちばん大切なところを手でまさぐる。
「あっ、やめろよ、許さないぞ」
今度は唇と唇が触れそうなほど顔を近づけてきた。
「ここでスーパーヒロインなら顔面に唾吐いてるね」
「……」
「美里。おまえにその度胸はないだろ?」
ぺっ!
「あっ……」
「舐めんな!」
顔に唾を吐かれた夜月は、一旦ベッドから降りてタオルで顔を拭いた。
「やっちゃったね、美里チャン」
夜月は美里の乳首を指で弾きまくった。
「やめろ、やめろ!」
不覚にも反応してしまう。すると、隠し持っていたハサミで乳首を挟んだ。
「あっ……」
美里は青ざめると、弱気な顔で夜月を見た。
「や、やめなよ」
「切るよ」
美里は震え上がった。
「ちょっと、待ちなさいよ」
「このくらいの覚悟をして唾吐いたんだろ?」
「…あなたにその気がなくても、手もとが狂うってことあるでしょ。危ないからどかしてよ」
弱気な美里を見て夜月は悪魔の笑みで迫る。
「バカだな。俺は本気だよ。行くよ」
「体を傷つけないのがあなたのポリシーでしょ?」
美里の息づかいが荒い。夜月は言った。
「じゃあ謝りな」
美里は気が遠くなった。
「すいません」
「嘘。謝っちゃう?」夜月は満面笑顔だ。「じゃあね。女の子らしく、ごめんなさいって言いな」
「え?」
「女の子のごめんなさいは効くんだぞ。美里みたいなかわいい女の子にごめんなさいなんて言われたら、たいがいのことは許しちゃうな」
美里は思った。
(ここはヘタに逆らわないほうがいい。意地を張って体を傷つけられても意味がない…)
「謝らないつもりか?」
「ごめんなさい」
「かわいい!」
夜月は感激すると、ハサミを引っ込めた。美里は汗びっしょりだ。

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