《MUMEI》
小さな決意
「んー。ちょっと借りすぎちゃったかなぁ」
今宵は放課後、図書室で数冊の本を借り終えて教室に向かった。
落ちそうになる本を両腕で支えながら歩いて行く。
先に帰ってて、なんて歩雪くん変に思ったかな。
歩雪くんには何でも見透かされてるみたいで・・・・・・。
でも、もう決めたことだし。
教室に着くと、人影はなかった。
今宵の影だけが長く伸びている。
「やっぱり1人は寂しいな・・・・・・」
でも、できるだけ歩雪くんと離れてないと。
ちゃんとケジメつけなきゃ駄目だよね。
私は歩雪くんの『幼馴染』であって、それ以上の理由で一緒にいることを許されているわけじゃない。
『女の子』として一緒にいることはまだ駄目なんだから。
そう思っていても、胸がキュッと締め付けられる。
今宵は鞄に教科書類を詰め終わると、教室から出た。
心に小さな決意を抱いて―。
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