《MUMEI》
禁断の電マ
夜月は、スポーツバッグから電気マッサージ器を出した。
美里は夜月の動きから目が離せない。全裸で両手両足を拘束されている美里は、緊張状態から逃れられない。
「美里チャン。くだらない質問するけど、無視したらくすぐりの刑だよ」
「やめなさいよ答えるから」
「もしも犯人に攻められて昇天しちゃったらさあ。女刑事失格かなあ?」
本当にくだらない質問だった。美里は軽蔑の眼を夜月に向けた。
「絶対、そんなことにはならない」
「電マで攻められても?」
「あり得ない」即答した。
「美里チャンは電マで攻められたことある?」
美里が呆れて目をそむけると、夜月の両手が脇に伸びる。
「やめなさいよ答えるから!」
「かわいい」
夜月の笑顔を美里は睨んだ。
「ないわ」
「ないのに何でイカないって言いきれんだよ」
「女は好きな人に抱かれて初めて感じるものなの。男目線の発想は捨てなさい」
夜月は嬉しそうだ。
「じゃあ、俺に攻められて落ちちゃったら、俺のことが好きってこと?」
美里は思わず笑ってしまった。
「おっ、かわゆい笑顔。そうやってバカにしてて、もしも気持ちよくなっちゃったら、美里、慌てふためくだろうな」
「くだらないアニメの見過ぎなのよ!」
「何で知ってんの?」
美里は横を向いた。夜月はいきなり耳にキス。美里は思いっきり頭を振った。
「やめなさいよ」
「耳弱いの?」
「会話中はやめなよ」
「会話か。結構弾んでるよな。プロファイリングか?」
「は?」
「監禁されたときは犯人と友好的に話すって習ったのか?」
「…別に」
夜月は、美里の言うことを無視して下腹部を触った。
「やめなさいよ」
「大事な質問。答えなきゃこの手がさらに下へ行くよ」
「やめなさいよ答えるから」美里はムッとして睨んだ。
「美里は24だっけ?」
「よく覚えてるわね」
「惚れた女のことは覚えてるよ」
美里は唇を結んで目をそらせた。
「初体験はいつ?」
「答えたくない」
夜月の手が下がる。
「やめなよ!」
「初体験はいつ?」
「答えたくないっていうのも立派な答えでしょ!」
夜月はほくそ笑むと、手はおへその周辺に移動した。美里は手から逃れようと腰を動かす。
「美里。そんなに経験豊富ではないと思うんだけど、24歳までのセックスライフで、何回エクスタシーを経験した?」
「答えたくない…あっ!」
夜月の手が内股に移動する。答えなければ秘部を触られてしまう。
「……ないわよ」
「嘘!」夜月の目が爛々と輝く。「じゃあ、俺に初エクスタシーを奪われたら残酷だね?」
「くだらない」
美里が横を向くと、ウィーンという鈍い音が聞こえた。慌てて見ると、夜月が電マを手に持って美里の股に近づけている。
「やめなさいよ!」
「電マの威力を体感させてあげる」
「そんなもんに頼って。あなたは大口叩いてる割にはテクニックに自信がないんでしょう?」
夜月は電マのスイッチを切ると、真顔で美里を見すえた。
「今何て言った?」
(まずい!)
返って挑発してしまったか。
夜月は電マをしまうと、また美里の体に乗った。
(しまった、やられる…)
凄い緊張感。美里は顔を紅潮させて、夜月を見つめた。
「美里。今何て言った?」
「バカね。何むきになってるの。電マの攻撃を避けるために言っただけよ」
息づかいが荒い弱気な美里を見て、夜月は笑みを浮かべた。
「かわいい」
危なかった。夜月はベッドを降りた。

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