《MUMEI》

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一番後ろなんて、


文句いわれるかなと思ったけど


秀一は何も言わずに俺が指した席に座った


俺は取り繕った

「横に人、来ないと思うから此所にした」

「へぇ…選べるのか」

「うん」


…なんとか、誤魔化せたか?

…に、しても人多い。


最後列以外は満席で



ほとんど男女ペア


「あ〜。はやく始まんねーかな…あ、佑二」


秀一はワクワクとした表情で俺を見た

「パンフレット、あるか?」

「ああ。…はいよ」

「サンキュ」


俺は背もたれに寄り掛かって


俺が渡したパンフレットを眺める秀一の横顔を観察してた





「…秀一」

自覚無しに、俺は秀一を呼んでた


「ん?」


薄暗い映画館の中に



秀一の真っ直ぐな瞳が煌めく






ちょうど上映開始の時間になったらしく


「あ、始まるぜ佑二!」


照明が消えて

秀一が前を向いて座り直した




他の観客が期待にざわめき始め


照明が消え切った瞬間に






「っ…?!」






俺は体を捩じって

秀一に口吻けた

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