《MUMEI》
落ちた…
夜月は、美里の質問に答えた。
「あの三人は気が強いからだよ」
美里は黙って聞いた。口を挟めば、またスイッチを入れられてしまう。
「でも全然ダメだ。すぐに泣きながらやめて許してじゃ、それ以上ハードな攻めができない」
「何のためにそんなことを?」
「愚問だよ美里。強気の女の子を屈服させるから興奮できるんじゃん」
「屈服することが、どれだけ屈辱的なことかわかってるの?」美里は我慢できずに睨んだ。
「昇天寸前だったから許してあげたのに、何だその軽蔑の眼は?」
「だれが寸前だ。勝手に決めんな!」
「何その態度?」
スイッチを入れられてしまった。再びマシーンが作動する。
「あっ…」
無数のトゲトゲが美里の弱いところを上下左右に攻め、回転回転、螺旋階段!
耐えられるわけがない。
「あああ!」
気持ちよすぎる。美里は腰と脚を激しく動かしてマシーンから逃れようとする。無駄とわかっていてもこの連続攻撃を避けたかった。
「あっ、くっ、あああ!」
歯を食いしばる。
「あああん!」
(ダメだ、どうにもならない)
「美里。力が入らないことしてあげようか?」
「何よ」美里は赤い顔で夜月を見た。
夜月は、脇をくすぐりまくる。
「あああ!」
力が入らない。
(あん、しまった!)
くすぐりは続く。一気に快感が押し寄せて来た。
「はあ、はう、あん」
悶える美里にくすぐりの刑。容赦ない。美里は仰け反って耐えた。
「あっ、くっ…ううう!」
くすぐりをやめて下腹部と胸を攻め続ける。
(ヤダ、絶対ヤダ……ダメだ、どうにもなんない…)
美里は崩れた。
「んんん、んんん!」泣き顔で激しく首を振る。
「落ちる?」
「んんん、んんん!」
「降参?」
「だれが…あん、あっ……」
美里はガクンとなって涙を溢れさせた。
「嘘、かわいい。泣き入っちゃった?」
騒ぐ笑顔の夜月。美里は悔しさを噛み締めて、息を乱した。
「屈辱の涙か。純情だなあ。泣くなよう」夜月はマシーンを止めると、美里の横顔を見つめた。「美里。約束は約束だぞ。この体、好きにさせてもらうよ」
美里は横目で睨むと、かすれた声で言った。
「あたしを屈服させたらでしょ?」
「屈服したじゃん」
「屈服なんかしてない」
美里の言葉に、夜月も笑顔を消した。
「そういうこと言っちゃダメだよ。陥落したら屈服だろ?」
「あたしが陥落なんかするわけがない」
「女の子はイったら陥落だろ?」
「…落ちてないよ」
夜月は笑った。
「そういうこと言うならねえ、良心痛むけど本気で攻めるよ」
スイッチオン。またマシーンが動き出した。
(くううう…ああ、ダメだ)
感度が敏感になっている。しかし、負けを認めるわけには絶対にいかない。
「今度は落ちたか確認するまで止めないからな」
夜月は巧みに美里の弱点をしつこく攻める。弱点を見抜かれていることが悔しくてたまらない。
(何で…情けない、こんなヤツに、あん!)
美里が歯を食いしばりながら仰け反る。
「あああ!」
「美里。犯人に女体を開発されたら刑事として恥だぞ」
「貴様!」
真っ赤な顔をして睨むが、夜月の攻めにあえなく乱れる。
「あっ…ちょっと待って、あん、あっ……」
完全に崩れた。
「あっ…あん、はう、あう、あっ……」
美里は打ちのめされた。
(悔しい!)
「落ちた?」夜月が笑顔で聞く。
「止めろ!」美里は涙目で怒鳴った。
「落ちた?」
「止めろよ!」
「落ちたかって聞いてんだよ。早く止めないと三度目の絶頂が来るよ、いいのか?」
こんな最悪の男に三度も落とされたら立ち上がれない。
「落ちた?」
「……落ちた」
「嘘、落ちちゃった?」
「落ちた…」
止めてくれた。
美里は汗まみれでうなだれた。
(何かの間違いよ。認めたくない、こんなの……)

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