《MUMEI》
first stage
夜の路地を走る音がする。

足音は二つ。

「待ちやがれっ!」

後ろを走っていた男が声と共に地を蹴る。

闇にとけぬ鮮やかな黄金色の髪が宙に舞い、先を走っていた男の行く手を塞いで着地する。

「く…グゥ…オノレ…」


男の口からは低くくぐもった声と長い舌が覗く。


「カエル野郎がちょろちょろしやがって、もう逃がさねぇぜ!」


声と共に振りかざした手から焔が起こり異形に向かっていく。

「クソ…死んでタマルカ!!」

男の口から水が弾丸のように発射される、が、


「はっ、そんなんで俺の焔が止めれるわけねーだろ?」

その言葉通り水の弾丸は蒸発し、男は火に包まれた。

「ギャアァァ!!」

焔の中で人間の形は崩れ、半透明のカエルのような異形になり、燃え尽きた…


「雑魚がちょろちょろしやがって…。」

パンパンと服の汚れを払いながら男は明るい鳶色の瞳を燃えカスから外した。

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