《MUMEI》
裸締め
魅惑的な裸。一糸纏わぬ姿で両手を縛られ、両足は屈辱的にも吊されて恥ずかしいところが丸見え。
二度も落とされて、三度目は哀願して許してもらうという悔しさを味わった。
それでも美里は参っていなかった。しかし今、夜月実に犯されようとしている。
初めて味わうレイプの恐怖。美里は神妙にしていたが、内心は焦っていた。
(こいつは自分のモノで、あたしをよがり狂わせたいんだ。冗談じゃない!)
手足を拘束されて無抵抗な以上、もはや抱かれてしまうのは避けられないかもしれない。
しかし、せめてもの抵抗は、乱れないことだ。
万が一にも夜月の技でよがり狂わされたら、完敗だ。
夜月がズボンのベルトを外した。ベルトの音を聞き、美里は僅かに表情を動かした。
「美里。恨みっこなしだぞ」
「……」
たまらない緊張感に、体を硬直させる美里。
「何をしておる?」
背後から声。
びっくりして夜月は後ろを振り向いた。そこにはドエスアクマンがいた。
「うわ!」
「動くな!」ドエスアクマンのマスクをかぶった男が両手で銃を構えた。「少しでも動いたら頭をぶち抜くぞ!」
夜月は目を見開いてマスクを見た。
「ベッドから降りろ」
「わかった撃つな。射殺されるようなことはしていない」
「そいつはどうかな。本気だぞ。壁まで下がれ。下がれ!」
夜月はゆっくり壁まで下がった。警官二人が部屋に突入。夜月を逮捕した。
徳中はマスクを取ると、投げ捨てて銃をしまい、美里のもとへ。
「美里。今助けてあげるからな」
美里は恥ずかしいけど観念して身を任せた。
徳中は素早く両足を外すと、上着を脱いで美里の体に掛けた。
「大丈夫か?」
両手をほどく。美里はやっと自由の身になれたが起き上がれない。
「大丈夫か美里?」
「ダメ」
徳中は目を丸くすると、拳を握りしめた。
「そんな…」
「あっ」美里は起き上がると徳中の肩を触った。「大丈夫。レイプはされてないから」
「本当か?」
「ええ」
徳中は安堵のため息を吐いた。
「良かったあ」
「良くない!」
「あ、良くないけど」
美里は徳中の上着を着てボタンをはめた。ゆっくりベッドを降りようとする。
「歩けるか?」
徳中は優しく手を貸した。美里は無表情で夜月に近づいた。
「美里刑事。情状酌量の余地はあるよな。ちゃんと証言しないとダメだよ」
美里は厳しい目を夜月に向けた。
「情状酌量?」
「だって乳首とアイロンと快楽の海。結構許してあげただろ?」
右ストレートが顔面を貫いた。
「ダメだよ!」徳中が美里の腕を引っ張る。
夜月は尻餅をついた。美里は徳中を振り払い、夜月の顔面めがけて回し蹴り!
「あああ!」
夜月は手錠をしている手で顔を押さえた。
「ダメだったら!」徳中が怒る。
美里は素足。顔面骨折の感触があった。
警官二人に連行される夜月。その後ろ姿を見ると、美里は走っていって左腕を喉に絡ませる。裸締めだ。
「げえええ…」
「よせ!」
三人で止めるがすぐに夜月は落ちた。失神して大の字の夜月を無言で見下ろす美里。徳中が怒鳴る。
「起こせよ。死んじゃうよ!」
「……」
「頼むよ美里。起こしてくれ」
美里はゆっくり屈むと、夜月に気合いを入れて起こした。
「はあ、はあ、はあ…」
夜月は怯えた目で美里を見た。美里は無表情で見すえた。
夜月は警官に連行された。
「ダメだよ。逆恨みされたらどうすんだよ」
「あんな奴が、数年で出て来るの?」美里は感情的に言った。「また同じこと繰り返すよ!」
徳中は美里の両腕を掴んだ。
「美里。無事で良かった」
「無事じゃないよ。悔しい目に遭わされたんだから。あなたにも恥ずかしいポーズ見られちゃったし」
「バカ、何も見てないよ」
思わず抱きしめた。美里は抵抗しなかった。
「お礼言ってなかった。ありがとう。助かったわ」
徳中は、大切な美里を、強く抱きしめた。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫