《MUMEI》

「ちゃ……」


「は…」


「チャッチャッチャラッチャ〜…」

「な……」


でた!裕斗のなぜか得意なムーディ!!

「こんな状況でいきなりモノマネはね〜だろうがっ!よし!本気でお仕置きしてやるッッ!!」


「あ〜ン!冗談だってばあ!ヤダア!
それは無理ですから〜ッ!」

「ウルサイウルサイウルサ〜イッ!
こうしてやる!もう今日は寝かさねえッッ!!」








ああ…、俺は世界一の大馬鹿野郎です。

若い体に夢中になって夜明けを迎えた大馬鹿野郎です。



辛うじて二時間寝たか寝ないか。幸せそうに眠る今日もオフな裕斗を起こさない様にベッドを擦り抜け、熱いシャワーで頭を起こす。


冷蔵庫から牛乳を出して紙パックのまま飲みながらフレンチトーストを…裕斗の分も焼く。



新聞読みながらテレビ見て、トースト食べていても裕斗は起きて来ない。


バスローブを脱ぎ、洗濯機を回しても起きてきやしない。

完璧に着替えて髪型をドライヤーで整えても…


てか…

「あ〜あ…、今日出来る事なら外出たくねーよ…」


鼻の穴の下に直線に伸びる茶色い痂の傷。


本気で間抜けだ。これはもう他人事だったら腹抱えて笑うぞ俺は。


俺は鏡から視線をそらし、ドライヤーのスイッチを切った。



もう鼻毛切りはコイツには絶対やらせない!!




俺はどうせ干して貰えないだろう洗濯物を素直に乾燥機に突っ込み、自動洗濯物たたみ機もあったらいーのにと思いつつ、マンションを出た。


出る間際裕斗を見に行ったら、やっぱりまだ起きる様子もなく爆睡中だった。



ああ…


それでも幸せを感じる俺は、相当病気なんだろうか?

前へ |次へ

作品目次へ
ケータイ小説検索へ
新規作家登録へ
便利サイト検索へ

携帯小説の
(C)無銘文庫