《MUMEI》

模擬戦が始まった。出席番号順に二人ずつ。つまり初戦は

「アイン・ミッドナイト対アテナ・クレール、始め!」

クラスきっての美少年対クラスきっての美少女。自然と応援にも熱が入る。

「顕現せよ、【雷脚】!」

アインがスピードアップの魔法を詠唱破棄で唱える。それを終えると同時に凄まじいスピードでアテナに接近。

先手必勝。

それが彼の戦法だ。

「発動、【水柱】!」

しかしアテナは慌てない。冷静に魔法を唱える。沢山の水柱が地面から立ち上った。だがアインには一つも当たらない。

アテナを応援する者たちから残念がる声が聞こえてくる。しかしアテナは笑顔で、アインは顔をしかめている。

アインは立ち止まった。そして詠唱する。

「顕現せよ、【雷散】!」

アインの体を中心に、雷が広がっていく。それによって水柱は破壊されてしまうが、相変わらずアテナは笑顔だった。

「しまっ――」

「発動、【水陣】!」

アインがアテナの企みに気付いた時には既に手遅れだった。破壊された水柱の水がアインに向かって集まっていく。間もなく大きな水の球体が出来上がった。中心には苦しそうなアイン。

アテナは杖を振りかざし、勝利を確信したかのような笑顔で告げた。

「【爆】!」

轟音と共に水の球体が炸裂。中心地にはアインが力無く倒れている。

「勝者アテナ・クレール!!」

バーグの声が高らかに響き渡った。

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