《MUMEI》

「お疲れ様です。怪我はありませんか、瀧。」


「ねーよ、ミッション終了だ佐伯。」

不意に背後に現れたダークスーツのサングラス姿の男に瀧は気だるげに応答する。

「わかりました。本部に連絡します。」

そうして佐伯はイヤホンマイクで報告を始めた。

「ん?」

「どうしました?」

「いや、なんでもねぇ。」

《気のせいか?一瞬視線感じたんだが…》


「瀧?」

「あぁ戻ろうぜ、佐伯。」


疑問を払うように軽く頭を振り、帰還を促す。


「了解しました。」

インカムで連絡するとすぐに黒塗りのスポーツカータイプの車が止まった。



二人が去った後、建物の影から人影が…

「見ちゃった〜」

震えながらもどこか楽しそうな声の主は夜の町にパタパタ走りながら消えていった。

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