《MUMEI》 斎場の駐車場で…*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= ―――…翌日。 多摩丘陵の新興住宅街には、小雪がチラついている――…。 住宅街からほど近い斎場の駐車場に、一人の男が車から降り立った。 男は車のドアを閉めると、特に何をするでもなく、暫くの間その場に佇んでいた…。 ―――… ガサガサッ! その時、冬の風に飛ばされてきた一枚の新聞紙が、男の足に引っかかった。 その新聞紙には『ジャム食品経営破綻』の見出しが踊っていた。 男はそれを拾いあげるでもなく、払い退けるでもなく――… ただ其所に、ぼんやりと立ち続けるだけだった…。 やがて新聞紙は風に遊ばれ、男の足元から飛び去ってゆく…。 前へ |次へ |
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