《MUMEI》
帰り道4
「付き合わない」


誠は即答した


「そうか」

「何で嬉しそうなんだ?」

「そうか?」


…どうやら俺は自分が思うより、誠を気に入っているらしい


「そうだよ。質問してる時は睨んでたくせに」

「気のせいだ」


自覚は無いし


「あのなー」

「早く夕飯一緒に行くぞ」

「あ、虎之介先輩も一緒かもしれないけどいいか?」

「は? 何で」


そう言いながら、寮に入った時


「誠、おかえり! 鳳凰寺も」


主人を待っていた子犬のように、目をキラキラさせている鈴木先輩が、そこにはいた


神澤もそうだが、こんな鈴木先輩を俺は初めて見た


その眼差しは、誠に向かっていた


「俺はおまけですか? 先輩」


気付けば俺は、鈴木先輩に嫌味を言っていた


「あ、いや、違う。ごめんな、鳳凰寺」

「…いいですよ」


子犬化している鈴木先輩に、嫌味を続けられるほど


俺は、極悪非道では無かった


俺でさえそうなんだから


…あぁ、やっぱり


誠が鈴木先輩の可愛さに顔を赤くしているのを見て


何故か切ない俺がいた

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