《MUMEI》 危機一髪!瑠璃花は相当酔っていた。 「ううう、飲み過ぎた…」 彼女は服のままベッドに倒れ込んだ。 「……」 バッと起きる。 「いけない」 瑠璃花は、寝たらそのまま朝まで寝てしまうと思い、服を全部脱ぎ捨てた。 「ふう…」 裸になると、ベッドに潜り込む。 「んんん」 またバッと掛布団を剥いだ。天使ミサトが気になったので、とりあえず体にバスタオルを巻き、パソコンを開けた。 「ドエスアクマン 無料動画」で検索する。 出た。瑠璃花は高鳴る気持ちを抑えることなく、動画を見た。 ミサトが全裸で後ろ手に縛られ、両足も拘束されている。口には猿轡を咬まされ、必死に手の戒めをほどこうともがいている。 瑠璃花の額にも汗が光る。 「嘘、ヤバいじゃん!」酔っているせいか、ヒロインの危機になぜか笑顔だ。 「んんん!」天使ミサトは泣き顔で周囲を見回した。 回りには悪魔の暴兵が大勢いて、ドエスアクマンも勝ち誇った笑顔でミサトを見下ろしている。 「ミサト。ついに色魔界に連れて来られてしまったな。もう諦めろ」 「んんん!」ミサトは諦めきれずにもがく。 「ここでおまえは陥落して悪魔になるのだ」 「んんん!」ミサトは涙目で激しく首を横に振る。 「ええ、ちょっと待って」瑠璃花は興奮して余計酔いが回る。「残酷なことはやめようよ」 ドエスアクマンはミサトの顔を覗き込むと、舌を出した。その舌には例の種が乗っていた。 「!」ミサトは恐怖に目を見開いた。 「その恐怖の顔色を見ると、この種が好きなようだな?」 「んんん…」ミサトはプライドを捨てて、怯えた目でドエスアクマンを見つめた。 しかし血も涙もないドエスアクマンは、口をミサトの秘部に近づけた。 「んんん、んんん!」ミサトは、それだけは許してとばかり、ひたすら首を横に振った。 「甘いぞミサト。潔く諦めろ」 ドエスアクマンはミサトの大切なところにキス、ではなく、種を入れてしまった。容赦ない。 「んんん!」 種はすぐに芽を出し、中で暴れる。 「んんん!」 ミサトは慌てた。今度こそダメか。 瑠璃花も身を乗り出す。 「大ピンチ!」 瑠璃花の顔が赤い。酒と動画で体の血の巡りが良くなってしまったか。 「んんん、んんん!」ミサトは仰け反った。 「さあどうする女の子?」 ミサトの目。焦点が合っていない。絶望的な状況だ。見れば耐えられないのはわかりそうだが、ドエスアクマンに止める気配はない。 「んんん、んんん!」 まさかこのままトドメを刺してしまうつもりなのか。 ミサトは耐えきれない気持ち良さに仰け反り、たまらない快感にのたうち回った。 「悔しい、許してあげて」瑠璃花はエキサイトしながら胸が痛んだ。 すると、また画面が暗くなり、『この先を視聴する場合は有料会員登録が必要です』という無情の文字。 瑠璃花は笑顔のまま硬直していたが、怒り心頭。 「舐めとんのかドエスアクマン!」 パソコンに殴りかかる勢い。ドエスアクマンは舐めていない。 瑠璃花はガックリ来た。 「嘘、このあとどうなるんだろう?」 仕方なくパソコンを消した。 「ミサト危機一髪。続きはじゃあ、あたしが演じてあげようか?」 瑠璃花は大胆になっていた。完全に酔っ払っている。 「天使瑠璃花の度胸を見よ。ドエスアクマン。あたしを捕まえられるものなら捕まえてみなさい」 瑠璃花は120円を握ると、バスタオル一枚のまま玄関に行き、裸足のままドアを開けた。 「きゃあ、恥ずかしい!」 素足に伝わる冷たい感触を味わいながら、瑠璃花は、角にある遠くのほうの自動販売機まで走っていった。 「素っ裸じゃないところが、あたしのチキンなところ」 彼女は自動販売機の前に立った。 「ヤバ」 車のライト。瑠璃花は角を曲がって、塀に背中をつけた。 車は自動販売機の前で止まる。 (嘘、それだけはやめて) 男たちがゾロゾロ降りて来る。瑠璃花は凍りついた。 前へ |次へ |
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