《MUMEI》

初めて飲み会でうちの人を見た時からただならぬ彼の雰囲気は察知した、また内館君はそんなのお構い無しなとこが面白かった。


些細な会話の中で「木下君」、「美作」としきりに呼び合うのもなんだか不自然で……後々うちの人が呼ばれたら相手の名前を言ってしまうという癖を冗談でやっていたと判明したのだが。
二人だけのそういう空間が近寄り難かった。

美作君はうちの人が居るところには必ず居たし、セットのような扱い……いや、内館君が割ってくるから三位一体だ。
今思えば女子へうちの人を離すための防波堤だったのだろう、美作君は決まって飲み会で酔うとうちの人にキスをしてた。

あからさまに私が内館君に憧れていたせいか、美作君は私を気にしてはいなかったけど。
そのノーマークな私が妻になろうとは思わなかっただろう。



「ちょっと……なんで今、俺の居る前でそんな話するの。」

二郎が空気のようだったので気付かなかった。


「あら、今まで言ってなかったっけ。」

すっかり知っていたものだと。


「重みのある内容をさらっと会話したよね……」

そんな大袈裟なものでもないわよ。

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