《MUMEI》
仕事モードなクー
翌朝


クーは、他の二人よりも早く目を覚ました。


それはエアーにドキドキしていたからとか


アルゴンがキセノン特製の激苦胃薬のせいでうなされていた


…のも、少しはあるかもしれないが


空気屋として、仕事モードに入ったクーにとってはごく普通の事だった。


うん、ちゃんと、ある


クーは、荷物を確認し、深く頷いていた。


空気屋が所有している、空気収集用の吸引機とタンクはその種類や仕事内容により様々だが


今回、クーが持参したのはその中で最も軽量で、家庭用掃除機によく似たタイプの物だった。


これは丁度、掃除機でいうゴミが溜まる部分に、空気が溜まる仕組みになっていて


簡単に、吸引ノズルとホースを取り外す事ができた。


「よっと」


クーは本体をリュックサックに、先端に付けるノズルをリュックサックのポケットに入れて背負った。


そしてホースはあえて取り外さず、リュックサックに開けられた穴から伸ばし、ベルトのように腰に巻き付けた。


この時代のホースは、電源コードと同じ位細いので、腰に巻き付けてもあまり目立たなかった。

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