《MUMEI》

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映画の本編はまだ始まってない

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「不意打ちだったな」

ひそめた声で秀一が言う


「こんなシチュエーションでくるとは思わなかった」


そして自らの唇に光る唾液を舐め取った

それを見た俺の背筋はゾクゾクと波打つ




けど、俺は自分のしたことを思い出して


「……ごめん…」



秀一と目を合わせられなかった

秀一の心の中は、読めなくて。

---俺、嫌われたかもな

だとしても、こんな恋は、…こんな一目惚れは

もう一生無いだろうな





…なんて、思ってた




秀一がまたクスクス笑う



「いや、いいさ。…佑二」


秀一は肘掛けに乗せてた俺の左手に右手を被せた


俺は顔が熱くなんのを感じながら秀一の顔を窺った


秀一は真っ直ぐ、スクリーンだけを見てたけど



そのまま

「お前…意外と度胸あるのな」


秀一が俺の手をギュッと握って


「さっきの攻撃は、ポイント高かったぞ」


「…そ、そっか」















映画の本編が始まった

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