《MUMEI》

「そう、察しが早くて助かるわ。」

嫌そうな顔の瀧を尻目に千影はデスクの上のパソコンを操作する。

部屋の照明が落ち部屋の中心に3Dのマップが浮かび上がる。建物の上にはいくつかのグラフも表示されている。

「これはその高校の図面と周辺の分析結果よ。」

「でぇ?」

「ここ数日、SCが原因と見られる水圧の異常や磁場の乱れが計測されているわ。」

「カエル野郎じゃなかったのかぁ?」

「活動している時間帯も範囲も別物よ、波形から恐らく身を隠す術を知っているわ。」

「カテゴリーB…か、それ以上って?」

「えぇ、恐らく生徒に寄生、もしくは《契約》していると思うわ。」


「くあぁ〜めんどくせ〜な〜。」


「と、言うわけで事を穏便に済ますため、あなたには生徒として潜入してもらうわ。」

「楽しそうな顔しやがって…。て、俺25だけど…」


「フフ、問題ないでしょ?強力なSC保持者は老化速度が落ちるんだから、いけるわよ。」


反論すらできず結局押し付けられた形になる。


「詳しい資料はまた部屋のパソコンに送るわね。」


話を切り上げデスクに向かおうとする千影を不意に瀧の手が掴み引き寄せた。

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