《MUMEI》

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すると【シュン】は、肩越しに振り返りながら、答えた。


「あっちで女の子たちに捕まってるよ」


わたしと廉は、【シュン】の言葉に、彼の視線を追った。

少し離れた場所で、背の高い、キレイな顔立ちの男が、たくさんのかわいい女の子たちに取り囲まれていた。

紛れも無く、【ユーゴ】だった。

彼は疲れ切ったような顔をして、半ば放心状態だ。女の子たちの話をまともに聞いている様子はない。


「ここに来てから、ずっとあんな感じ。アイツ要領悪いから、上手く逃げられないみたい」


ヘラヘラ笑う【シュン】に、廉は呆れた顔をする。


「助けてやれよ。あーいうの、お前、得意じゃん」


【ユーゴ】の表情を見て、さすがにかわいそうだと思ったのだろう。廉がそう提案すると、【シュン】は、冗談!と笑い飛ばした。


「興味ない子に優しくするほど、ボランティア精神に富んでないんで」


きっぱりと答えた【シュン】に、鬼だな…と、廉がぼやく声が聞こえた。


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