《MUMEI》
実感
こんなに早く来たのいつ以来だろ?

今宵が教室に入ると、ぱらぱらと生徒がいた。

「おはよー!!」

「あ、おはよう今宵ちゃん!!」

「今宵ちゃん、早いねぇ〜!!」

今宵の声に教室にいた女子が次々と返す。

「あれ?歩雪くんは?」

やっぱり聞かれるよね。

どれだけいつも歩雪くんと一緒にいたかを実感しちゃうよ。

「あー。うん。今日は、ちょっと図書室でレポート書こうと思ったから先に来たんだ!!」

今宵がレポートを見せると、女子達が納得した様子を見せた。

「締め切り明日だもんね〜。ってあたしもまだやってない!!」

「え〜!?駄目じゃん!!」

女子達がまたグループで話し始めると、レポートを持って教室を出た。

はぁ・・・・・・。

ていうかもう終わってんだけどね、このレポート。

何でこんな時に限ってやってあるんだろ!!

図書館のドアを開けて、椅子に腰掛けようとふと上を見た。

「げ。もう教室戻る時間だし!!」

時計はもうホームルーム開始時間の15分前を指している。

「ホント、何しにきたんだろ」

静かに重い溜息をついた。

戻ったら歩雪くん達もいるんだろうし。

「はぁ・・・・・・」

先ほどよりも深い溜息をつかざるをえなかった。

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