《MUMEI》

「今日はミネストローネにしましょうか」
「イタリアンか…アキラはイタリアンばっかりだな」
「すみません、バリエーションが無くて…やっ///」
「いや、結構…好きだぞ」

克哉さんはくるみちゃんをチャイルドシートに座らせていた僕のお尻を撫でてくると、身体を上手く滑り込ませて来てキスしてきた。

「ぅ…こんな所で///…子供も…見て…ますから///」
「ん…///」

克哉さんから視線を反らして子供の方をチラリと見てみると、その僕らの様子をくるみちゃんは目を輝かせながらじーっと見つめていた。




「アキラしゃんは、おりぇと一緒にねゆのー!」
「お前の小さいベッドで寝れるワケ無いだろう…アキラは俺と一緒に寝るんだよ」
「やらーっ!!」

初日からこんな調子で大丈夫だろうか…。

「じ…じゃあ…僕はシャワー浴びて来ますねι」

くるみちゃんはさっき、僕が荷物を開けたりスーパーマーケットで買ってきたものを冷蔵庫に整理しながら夕飯を作っている間に、克哉さんにお風呂に入れてもらっていた。

「冷蔵庫が賑やかになったな…」

克哉さんはそう言って冷蔵庫からビールを取り出すと、小脇にくるみちゃんを抱えながら、簡単に片手で栓を開けて飲んでいた。

(食事の時も飲んでたのに…やっぱりドイツ人…なんだな…)

克哉さんは一人暮らしの間も冷蔵庫にはあまり物を入れてなかったとかで、ほとんど綺麗なままだった。

食器も必要最低限しか無いという事で、今日はみんなで一緒の食器を使って楽しかったけど、やっぱり明日買いに行こうという話をした。

ベッドも寝室とはもう一つ別にお客さん用とか、あとケンカした時の避難用に。

最初からそんな事を考えるのは何だけど…。

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