《MUMEI》

中等部の入学式の前、運命的に…いや偶然にこの人と出会ったのが始まりでした。

首席合格者として、新入生代表で挨拶をした姿が眼に焼きつきました。

その後、同じクラスになって、一緒に過ごすようになって…。

彼が1年生ながらも生徒会長に立候補したいと言い出した時には、さすがに驚きましたよ。

でもその時、ボクも生徒会に入って欲しいと言われた時は…素直に嬉しかった。

そして見事、ボク達は生徒会入りをしたら…いきなり彼から告白されて、浮かれていた気分もあったせいで、ボクは告白を受け入れてしまったんですよ、ハイ…。

回想終了。

…後悔倍増。

「今年のバレンタイン、海外で過ごそうっか?」

「…次の日学校ですから、お断りします」

「え〜? じゃあ日本の別荘なんかはどう? ヘリを使えば、登校時間に間に合うよ?」

そしてこの人はバカ坊(バカなお金持ちの坊ちゃんという意味です)でもありました…。

「朝からヘリ登校なんて、疲れるからイヤです」

「ぶー★ じゃあもうホテルで良いよ。最上階の…」

「だからそういう会話を学校でしないでくださいってば!」

彼の口を両手で塞ぐと、ニヤッと笑いました。

うっ…。この笑いは何かを企んでいる顔です。

ペロッ

「うっわぁっ!」

手をっ…手を舐められたっ!?

「アハハッ。その反応、可愛い♪」

「〜〜〜っ! あなたって人はぁ!」

「だって本気になってくれないんだもん。オレはいつだってキミに本気なのに」

「だったらそうは思えない行動をしないでくださいよ! いっつもふざけているようにしか見えません!」

「あらまっ」

そういう態度がふざけていると言うのに!

…全く通じていないのが、悲しいを通り越して、虚しくなりました。

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