《MUMEI》

本気で困っている彼の顔を見ると、かっ可愛いとも思えなくもないですけど…。

…やっぱり困った人です。

「ん〜。でもホテルもダメ?」

まだ言いますか!?

「街の中に良いホテル建てたんだよ。そこの最上階で、ね?」

ボクの手を掴み、キスする姿はまるで王子様のように見えなくもないですけど…。

付き合い、長いですからね…。

「…分かりました。でも! 学校には間に合うようにしてくださいよ?」

「分かってるって♪ 代わりにチョコ、ちゃんと用意してよ?」

「はいはい。…それで、いつまで手を握っているんですか?」

「できればずっと繋いでいたいなぁ。一瞬でも離れたくないって言うのは、本気の本音」

そう言ってまたキスをしてきました。

「…ほとんど一緒にいるでしょう?」

「ううん。離れている方が多い。それに2人っきりの時間は短いよ」

「学校に通っているんだから、しょうがないですよ」

「あ〜あ。学校なんてかったるい。…ねっ、結婚しようか?」

「はあっ!?」

天才とバカは紙一重と言いますが、とうとうバカの方が大きくなったんでしょうか?

「来年、高校卒業するよね? そしたら外国行って、結婚しようよ」

「なっ何を…」

バカなことを、とは続けられませんでした。

…いきなりの言葉に、頭の中が真っ白になったからです。

「だって不安なんだ。オレの見てないところで、キミに何かあったらどうしようって思ってる」

「何も無いですよ」

「分かんないじゃん。いつ何時、何が起こるか分からないし」

まあ一理ありますね。

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