《MUMEI》

「だから永遠を誓ってほしい。もちろん、神サマじゃなくて、オレにね」

ニッと笑って、近付いてくる唇。

「んっ…」

眼を閉じるのと同時に、キスされました。

…この時だけは、キスだけは、彼の本気が伝わってきます。

熱くて、甘くて、そしてとても切ない気持ちにさせられるから…。

「大好き。愛しているよ。世界中の誰よりも」

耳元でささやかれる声も熱くて…溶けてしまいそうになります。

「…知ってますよ。ボクだって、あなたのことを愛してるんですから」

恥ずかしくて、彼のようにいつも言えるワケではないですけど…ボクは彼を愛しています。

…いや、言ったら調子に乗るから、言わないんでした。

「あっ、もうチョコの用意は済んでんだよね?」

「そうですよ? …何ですか? 食べたい物が変わりました?」

「うん、まあ、ね。でもキミが年に一度、作ってくれるものだしなぁ」

「別にチョコじゃなくても、簡単な料理なら作れますよ?」

クッキーとか、サンドイッチぐらいならまあ…。

「ううん、そうじゃなくてさ」

ぎゅっとボクに抱きつくと、彼はとんでもないことを言ってきました。

「…食べるのは、チョコじゃなくて、キミが良いなって」

「なぁっにを…!」

やっぱりこの人、バカ坊です!

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