《MUMEI》

ピピーーーー!!


榊原が先に接触したと判定され、
こちら側ボールとなった。


ゴール手前で相手チームが3人並び、
先輩が距離をおいてその前でゴールを狙う。


審判のコールがなったと同時に、
倉木先輩は助走をつけてボールを蹴り上げた。


だが、まだ足がおぼつかない。





先程の接触の後、
先輩はまた俺を庇うようにして立ち上がった。


「その辺にしとけ。」


いつもよりも低い声にドキリとする。


「せんぱ……。」


「賢史、こいつらに関わるな。

俺のことはいいから。」





「なんで。」


ゴールを逃し、
まだフラフラと歩く先輩を見ながら思った。


先輩は何を隠してるんだ?

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