《MUMEI》 ピピーーーー!! 榊原が先に接触したと判定され、 こちら側ボールとなった。 ゴール手前で相手チームが3人並び、 先輩が距離をおいてその前でゴールを狙う。 審判のコールがなったと同時に、 倉木先輩は助走をつけてボールを蹴り上げた。 だが、まだ足がおぼつかない。 ・ ・ ・ 先程の接触の後、 先輩はまた俺を庇うようにして立ち上がった。 「その辺にしとけ。」 いつもよりも低い声にドキリとする。 「せんぱ……。」 「賢史、こいつらに関わるな。 俺のことはいいから。」 ・ ・ ・ 「なんで。」 ゴールを逃し、 まだフラフラと歩く先輩を見ながら思った。 先輩は何を隠してるんだ? 前へ |次へ |
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