《MUMEI》

「いいんだよ、僕のは裏切りじゃないから。忠誠だよ。」

志雄君がまさか……!


「千守様側に寝返ったくせによく言うな。」

千守さんのとこに寝返るだなんて!


「これは刺激なんだよ、僕の氷室様にいたぶられたい気持ちは変わらない。
ただ、最近の氷室様を見ていられないんだよ……同じ戯れも終わりにしなきゃね。タマを奪ってもらってまた、孤高な氷室様に戻ってきて欲しいんだ。」

志雄君は千守さんに勝って欲しいのか、氷室様を一人ぼっちにしたいがために……。
僕達は千秋様との共通の友達だったのに、酷いじゃないか!


「千秋様……、僕が志雄君を目覚めさせます!」

千秋様が、かけがえのない友だということを思い出させてあげたい!


『すぐ出て行こうとするな、頭を使え。』

千秋様の声で踏み込んだ足を戻す。


あたま、あたまを使う……?
僕は馬鹿だから千秋様の気持ちを汲み取れない。



「こーんなところにー、はぐれ奴隷みーつけたあ。」

窓ガラスが粉砕した。
千花さんが窓から入ってきたのだ。
背中の毛が少し伸びた。
千花さんはひらりとスカートを舞わせて地面に着く。


「何処にご主人様が居るのか吐きなさい!」

千花さんにロックオンされてしまった……!
ごめんなさい千秋様、僕はお役に立てずに終わりそうです。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫