《MUMEI》
奇想曲
「―それで? どこへ逃げようと言うんだ?」

突如響いてきた声に、コウガとシキは構えた。

「この声…マカかっ!」

「当たりだ」

グランドガラスが割れ、そこからマカは中に入った。

そして床に倒れている学生達を見て、顔をしかめる。

「…随分喰らったようだな。腹は膨れたか?」

「まあな」

そこへカルマとナオも入ってくる。

「見つけましたよ。シキ」

「遊びの時間は終わりです」

「チッ!」

シキは瓦礫の中から、日本刀を取り出した。

そしてコウガを背に隠す。

「ったく…。ハズミとマミヤを現世に留めさせないほどコキ使って早二ヶ月。こんな小賢しい方法で隠れていたとはな」

ため息を吐くマカを、カルマとナオは呆れた表情で見つめた。

「マカ。全部終わったら、ちゃんと2人にお礼言わなきゃダメですよ?」

「2人とも本当に姿形、無くしましたしね」

「消えてはおらん! …ケータイに戻っただけだ」

力を使い果たした2人は、マカとルカの『携帯彼氏』に戻ってしまった。

「それもこれも、こんなことを仕出かしたシキのせいだろう? …まっ、もっとも協力者がいるとは思わなかったがな」

マカは赤い眼で、シキの背後にいるコウガを見つめた。

「お前…名をコウガと言ったか? ただ人が、何故シキに協力した?」

「放ってはおけなかった、と言ったところかな?」

シキの背後で、コウガは苦笑した。

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