《MUMEI》

ぶたれた頬を撫でた。

かなり熱い。

そりゃ当然の反応だよな。

でも不思議と、後悔はしていなかった。

何となく…抑え切れないだろうと、思っていたから。

いつかは爆発していただろう感情。

今、こんな風に終わってしまうってのも…アリかな?

ぼんやり思いながら、唇の甘さを感じた。

その後―。

物の見事にムシされる日々。

あたしもあえて声をかけようとはしなかった。

これ以上の接触は、お互いに傷付け合うだけだと分かっていたから。

でも…数年後、数十年後には笑い話しになっているだろう。

この気持ちが消えるまでの辛抱だ。

それまで、甘いものはやめておこう。

…どうしても、彼女の唇を思い出してしまうから。

それでもお昼は、一人で屋上に来ていた。

ここは元から人気が少ない。

一人でいても、青空があるからあまり寂しくない。

「今日も良い天気だなぁ」

欠伸をし、伸びをして寝転がった。

いつもなら、彼女の膝枕があるんだけど…。

…いかんいかん。

吹っ切らなければ。

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