《MUMEI》

「あっ…次は、何…食べたい?」

「次?」

次は…無い方がいい。

「…いいよ。もうあたしに作ってこなくて」

「どうして…」

「アンタにまた、キスしそうになるから」

カッと彼女の顔が赤くなった。

「今度は暴走しそうだから。傷付けたくないから。もうこれ以上。だから、付き合いは終わりにしよう」

「そんなっ…!」

彼女はボロボロ泣き出した。

…ああ、こういう顔を見たくないから、距離を置いていたのに。

「泣かないでよ。悪かったってば。もう二度と、あんなことしない。誓うわ」

ハンカチを取り出し、彼女の涙を拭こうとして…。

「…っ!」

「んっ…」

いきなり、彼女の方からキスしてきた。

「えっ…」

「キス…しても良いから」

涙で潤んだ眼で、見つめられた。

「暴走しても、良いから…。一緒にいてよ」

そう言って抱き着かれた。

「…まいったな」

今まで必死に抑えてきたのに…。

でも…彼女がいいと言うなら。

「カクゴしてよね。あたし、遠慮しないから」

腕の中で、彼女は頷いた。

そしてまた、キスをした。

甘い甘いキスを―。

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