《MUMEI》 「あっ…次は、何…食べたい?」 「次?」 次は…無い方がいい。 「…いいよ。もうあたしに作ってこなくて」 「どうして…」 「アンタにまた、キスしそうになるから」 カッと彼女の顔が赤くなった。 「今度は暴走しそうだから。傷付けたくないから。もうこれ以上。だから、付き合いは終わりにしよう」 「そんなっ…!」 彼女はボロボロ泣き出した。 …ああ、こういう顔を見たくないから、距離を置いていたのに。 「泣かないでよ。悪かったってば。もう二度と、あんなことしない。誓うわ」 ハンカチを取り出し、彼女の涙を拭こうとして…。 「…っ!」 「んっ…」 いきなり、彼女の方からキスしてきた。 「えっ…」 「キス…しても良いから」 涙で潤んだ眼で、見つめられた。 「暴走しても、良いから…。一緒にいてよ」 そう言って抱き着かれた。 「…まいったな」 今まで必死に抑えてきたのに…。 でも…彼女がいいと言うなら。 「カクゴしてよね。あたし、遠慮しないから」 腕の中で、彼女は頷いた。 そしてまた、キスをした。 甘い甘いキスを―。 前へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |