《MUMEI》

郊外にある静かな原っぱ、一見何もないように見える場所に阿騎は車を停めた。

「ここは?」

「…少し着いてきてくれるかな?」

「ん、おぅ…」

静かな空気に少し気後れしながら着いていく。

しばらく進んである木の手前で阿騎は止まった。


「…ここにね、リュウのお墓があるんだよ…」

小さく告げる相手の足元には木にもたれさせるように置かれた石があった。


「あ、…確か昔飼っとった…」

「うん、…今日は命日でね、いつもは一人なんだけど今日は二人で行きたくて、ね。」

寂しげに、切なげに告げる横顔にオレは何も言えなくなった。

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