《MUMEI》

「賢史!

こっちだ!!」


気付けば先輩いる位置、
相手ゴール手前まで来ていた。


俺は先輩の声にパスをだそうとするが、
やはりゴール手前となると密集率は高くなり、
中々思うようにはいかない。


くそっ!


どないしたらええんや!?


横目で丁度よいスペースを探しながら、
必死に迫り来る相手を避けるのがやっとだ。


ゴールに近付くにつれ、
それも難しくなる。


しゃーないな……。


いっちょ掛けやるか。


俺は気を取り直して、
ひとまず大きく息を吸い込んだ。


そして突然、動きを止める。


ピタッ


そのまま勢いついて走り抜く者、
驚いて動きが鈍る者など様々いたがひとまず隙を作ることは出来た。


よし。


後は任せたぜ…


「先輩!」

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