《MUMEI》 「素晴らしいですね、外観といい内観といい風格がある」 「恐れ入ります」 コツコツと廊下を歩く 今ついたばかりのシュール子爵と その一歩後ろからついていくシャルドネ 「こちらでございます」 そう言ってドアノブや扉の縁に純金が 施してある大きな扉にシュール子爵を促す ギギィ…と重苦しい音をたてながら 使用人たちがゆっくり開けていく 「ようこそ我がロベスニーニ家へ」 長細いテーブル、真っ白なテーブルクロス その上には点々とキャンドル立てが置いてある 天井には光輝くシャンデリア その中、テーブルの端で肘をつきながら シュール子爵を見つめているルワン アークリィーはというと、 今だ食器ばかりを見て微動だにしない 「これはこれは、ロベスニーニ侯爵。このような素晴らしい屋敷に招待して頂き光栄です」 その言葉でやっとシュール子爵の方へ 顔を向けるアークリィー シュール子爵って意外に若いな 変態って聞いてたから もっとオッサンなのかと思ったが…… 二十歳ぐらいか…? そう思うと自然と 眉間にシワがよった 「ふッ、そうですかそれは嬉しいな」 ニコッと黒を帯びた笑みをみせるルワン うわっ…おもっくそ作り笑い…… 目、笑ってねぇ―ッ!(汗) 「まぁ座って下さい、お腹も空いたでしょう?」 そう言ってシュール子爵を座らせる そしてすぐ食事が運ばれてきた 「失礼致します、お食事をお持ちいたしました」 アンソニが満面の笑顔で入ってきた アークリィーはその笑顔に目が点になる 「まず前菜として、ホタテとトマトのサラダ仕立てです。スープはあっさりとした野菜スープのガルビュールでございます」 「それでは、いただくとしようか」 アークリィ-に緊張が走る えぇーっと、まずサラダから… 外側のフォークで… ドギマギしながら食べる その様子をひっそりながめ クスクスと笑うルワン 「それで…こちらのレディーは?」 張り付けたような笑顔で アークリィーの顔を見る 「え、えっと…私、は」 「あ-、紹介してなかったですね。彼女は僕の遠い血縁者ですよ。アークリィーと言います…」 「なんて可愛らしい名前なんだ、君にふさわしいよアークリィー」 ボソッ 「…だってさ…」 少し身をのりだし クスリと馬鹿にしたような笑いをした 「こ、光栄ですわ」 ほほほと苦笑い 「侯爵、アナタも本当に綺麗な方ですよ。どうですこれを気にもっと仲を深めていきませんか?今宵の晩餐会の後にでも僕の屋敷に来ませんか??」 その言葉に二人とも 目を見開く… 「とても嬉しい誘いだが、僕はまだ仕事が済みそうにない。悪いがお断りするよ」 そうか、残念だと言って 笑みをこぼすシュール子爵 こうもアッサリと誘いをしてくるとはな… しかし、男である僕を 誘うなんて本気で思考がおかしい人間だ こういった人間は 慎重にいかないと逃してしまう 一方、アークリィ-は おいおい、何でわざわざ 女のあたしじゃなく 男のアイツを誘うんだよ なんか腹立つ 負けた感じが腹立つッ! イライラしていた 前へ |
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