《MUMEI》 オフ7「あ、おいしい」 オムレツとこんがりトーストを頬張りながら。 「咲と同期なら、俺のことも知ってたんだな」 「そうね。配属が離れても連絡は取ってたから、かわいい"朱星"の話しは耳にタコ」 「咲のそういうとこ、俺はすごく恥ずかしいよ」 「いいじゃない。ただ、最初は気付かなかったわ。ベルカコーポレーションの社員名簿が、"ウェルカ"になってたんだもの」 「本名だよ」 「かわいい名前ね」 「気に入ってる」 「あぁでも、咲のかわいい朱星にじゃなく、私はあなた個人に興味があったのよ。新作のイメージにぴったりで」 「それであの手紙?」 「軍育ち同士、気兼ねしなくていいんだから、気持ちいいこともしたいじゃない。よかったでしょ?」 「まぁ、うん」 空になった皿を片付け、天宮は薄型の固定通信端末機をダイニングテーブルに広げた。 「さて、今日は本業の補佐、やってくれない?昼間の留守を狙って潜入捜査よ」 「人使い荒いな」 そう言いながら、久々の本領発揮に腕のなるウェルカだった。 前へ |次へ |
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