《MUMEI》
奇跡の適合
植物人間を作る研究は、社長にも秘密で行われた。


グリーン博士は己の研究が違法である事を自覚していた。


しかし


『妻を違法な方法で隠している社長なら、同じ位溺愛している息子の為に法を犯しても、何も言わないだろう』


そんな、確信に近い自信があった。


だから、成功したら、社長に植物人間を披露すればいい


そう思っていた。


まさか


数多く集めた、自分も含めた細胞の中で


ソラリアの細胞だけが、植物遺伝子と適合するとは思わなかったのだ。


『ど、どうします? 博士?』


培養カプセルの中で成長していく少女がソラリアに瓜二つな事に、部下達は慌てた。


クローンなんだから、当たり前だろうが


ソラリアの細胞を社長に知られぬよう入手したのだから、部下が慌てるのは仕方ないと思いながら、グリーン博士は呆れた。


『事情を説明すればわかって下さるだろう』


最愛の妻のクローンが


最愛の息子に自由を与えるのだから


そうして、グリーン博士は部下と実験体の


エアーの培養を続けた。

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