《MUMEI》

「風、冷たくなってきたから、帰ろうか。」


沈黙を先に破ったのは阿騎だった。


「ごめんね、ペットのお墓参りなんかに付き合わせて。」


「いや、えっと…嬉しかったで?ペットっちゅーか…大事な友達のお墓教えてくれて、な。」


それは素直な本心だったんやけど、阿騎には以外だったらしい。


「ほんとに?」


「ん?うん、だって猫の話の時は優しい顔しとるもん。」


「そう、かな?…まだそんな顔できてたんだ…。」


「そうやで、さ、ほな家帰ろか、今晩何がいい?」


「リュウのハンバーグ、かな、デミグラスのね。」


「了解!」


そうして二人でならんで車に向かって歩いた。

この後、自分に待ち受ける事件をオレは知りもしなかった。

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