《MUMEI》

家につく頃には鮮やかな夕焼けが町を染めていた。


キッチンに材料を置き、リビングに戻ると阿騎がカーテンを閉めていた。


「きれいな夕陽やなぁ。オレこの時間一番好きやわ、すぐ消えてまうけどな。」

話しながら隣に立つと、阿騎と目があった。


「どないかした?」


いつもと違う空気に気づき声をかけた瞬間、


「リュウっ…」


不意に、名前を呼び、体を抱き込むようにして阿騎はキスをして来た。

!!!!


驚いて体を話そうとすると両手をとられ、さらに激しく唇を重ねられる。


「阿、騎…?」


「リュウ、好きだ。」


!!!!!!


突然の告白、いつもとは違う声音、鮮やかなオレンジの部屋、なにもかもが非現実のような中、熱く痺れるるような唇と舌の感触だけがやけにリアルだった。

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