《MUMEI》

その土手には、彼岸花がとても美しく咲き誇っていた。

見る者の眼を惹き付けて放さない、美しい彼岸花。

そこの土手には、1人の少女がいる。

見た目15・16ぐらいの少女は、彼岸花の群れの中に立っていた。

愛おしそうに彼岸花を見つめる姿は、1人の男子高校生の目を惹いた。

その視線に気付き、少女は少年に微笑みかける。

―その次の日も、少年は少女に会いに、土手へ訪れた。

その次の日も、また次の日も、休みの日も…。

やがて少年は、学校もサボるようになった。

彼岸花が咲く中、少女と一緒にいることがとても大事で、嬉しく思えたからだ。

だがやがて、彼岸花がしおれてきた頃、少女の顔色が悪くなっていることに気付く。

体の具合も悪そうだ。

少年は少女に訪ねた。

どうしたの?―と。

しかし少女は首を横に振り、儚く笑うだけ。

そして次の日、少女は少年に別れを言い出した。

けれどまた、ここへ戻って来ると少女は言った。

しかし少年は嫌がった。

ずっとキミと一緒にいたい―と。

すると少女は少し考えた。

そして言った。

二人がずっと、一緒にいられる方法を。

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