《MUMEI》 小学生のキスアタシの好きな人は、女の子。 同じ小学5年生とは思えないぐらい落ち着いていて、キレイな彼女が好き。 でも…彼女は別世界のような人。 上級生からも告白されるし、雑誌ではモデルをしているし…。 勉強はいつもほとんど100点だし、スポーツだって…。 あっ、自分が情けなくなってきた。 彼女と同じクラスになれただけで、十分だ。 今日も遠くから彼女を見つめる。 見ているだけなら…良いよね? 彼女を見ている人なんて、他にいくらでもいる。 その他大勢の一人で良いの。 誰にも言わないから、何も言わないから。 好きでいさせて。 あたしの通学路は、土手。 広く底の浅い川の土手の土道をとことこ歩く。 土手沿いには桜の木が植えられていて、春になるとここを通るのが毎朝楽しくなる。 でもここはいつ通っても、気持ち良い。 夏の緑の匂いと、川の涼しい音色がまたステキ。 一人でとことこ。 ぼんやり欠伸をしながら帰り道を歩く。 「ふぁ〜あ」 周りに誰もいないので、大きな欠伸を隠さずにする。 昨日は夜更かししてしまった。 理由は彼女の特集雑誌が出たから。 秋物の洋服に身を包んだ彼女を見ていたら、思わず夜遅くなってしまった。 次へ |
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