《MUMEI》 昨日発売されたばかりの雑誌を持ったクラスメイト達が、今日彼女を囲んでいた。 彼女は笑顔で相手してたけど…。 雑誌が発売されるたびに、アレじゃあ疲れそう。 ウワサではテレビ出演の話まで来ているみたい。 そうなったら、あんまり学校には来ないようになるだろうな。 …せめて、小学校を卒業するまでは………ううん。 同じクラスでいられるうちは、出来れば彼女と一緒にいたい。 でも、儚い願いだろうな。 ウワサじゃ学校で一番人気の男子、生徒会長と付き合っているって言うしなぁ。 「はぁ…」 アタシが男の子だったら…今と大して変わらないか。 「どうしたの? ため息なんてついて」 「えっ!」 振り返ると、彼女がいた。 笑顔で、一人で、彼女が、いた。 「えっ、えっ? どっどうしたの?」 「今日はこっちから帰りたかったの」 「そっそう」 彼女の家、ここら辺だったっけ? 首を傾げると、彼女はアタシの手を取り、歩き出す。 「一緒に帰りましょう」 「えっ? あっ、うん」 彼女は笑顔。…逆らえない。 前へ |次へ |
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