《MUMEI》

「どっしえぇぇ! 」
二人は走り出しました。

走りながら、あれはなんだ!と聞けば、あれは姫様の舌だ!と答えます。人の舌があんなはずないと言えば、姫様は人でなく、うわばみなのだ!と答えます。

「成金!なんとかしなさいよ!」

「いやはや、何ともかんとも」

一人と一匹はドタバタともぐらの巣穴を逃げ惑います。

親指姫は、うわばみの舌を見てキュピ〜ンと何か閃きました。成金もぐらに耳打ちすると、親指姫と成金もぐらは左右に別れて逃げました。


「馬鹿め〜二手に逃げても無駄だよ、私の舌は先が二本に別れてるんだからね」

うわばみ姫がそう叫ぶと、舌は二人を別々に追い掛けます。


シューシュー、ベロリンチョともぐらの尻にうわばみ姫の舌が触ります。

「ウギャァ!?」

シューシュー、ペロンチョと親指姫の背中がうわばみ姫の舌に嘗められました。

「イヤァァッ!?」

もうダメだ!と言う時、左右に別れていた穴は再び一つに出会い、親指姫ともぐらも出会いました。

二人を追ってきた舌も出会い、その瞬間親指姫が剣の代わりに腰に着けていた針をうわばみ姫の二本の舌先に突き刺し地面に縫い止めました

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