《MUMEI》
危険地帯
何度来てもすごい所だな


危険地帯を歩きながら、クーはそう思っていた。


空気汚染が特に進んだこの地帯は、常にどんよりとした雲に覆われており


濃い霧が発生していて、視界は最悪だった。


今回新たに購入したゴーグルは、熱探知機能も付いていたので、他のメンバーの位置は確認できるが


防護服のせいもあり、誰が誰だか…


…わかるな


フレアがいない今、クーははっきりと人物の識別ができていた。


ただ、他のメンバーには、クーとエアーの区別はついていなかった。


「エアー、大丈夫?」

「…」


エアーは無言で頷いたが、少し辛そうだった。


仕方ないよな


視界が悪い上に、危険地帯は足場も悪い。


その上、エアーはいつも部屋の中だけで過ごしているのだから、疲れるのも無理は無かった。


「おぶるか?」


クーとエアーのやりとりを聞いていたコロナがそう提案したが


「…」


エアーは首を横に振り


「…一緒」


と、呟いた。


「「?」」


クーとコロナは最初意味がわからず首を傾げたが


…エアーの視線の先に、フラフラしているアルゴンを発見した。

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