《MUMEI》
はじめまして。ボクはウサギです。
はじめまして、読者の皆さん。

ボクはウサギです。

しかもアルビノと言われる、体が白くて、赤目のウサギです。

ボクが住んでいるのは人里から離れた山の中です。

でもその山の中にも、人はいて、村があるんですよ。

ただすっごく閉鎖的なんですよぉ。

だからか、普通は愛玩動物として可愛がられるはずのボクにも、平気で物を投げてきます。

「このごく潰し! とっととエサを連れて来い!」

そう言って石を投げてくるんですよ。

まあボクは身軽なので、避けて逃げますケド。

でもアレでもボクの食料を作ってくれる人々です。

ボクも何かしらのカタチで、彼等に与えなければいけないんですよ。

でも腹が減っては何とやら。

ボクは山を下りて、麓の村へやって来ました。

バス停近くには、無人の野菜売り場があるんですよ。

そこでジッとしていると、たまぁに人が通りかかって、ボクを見て、ニコニコしながらニンジンを買ってくれます。

山の中の人々よりも、こちらの人々には温情というものがあり、良いですねぇ〜。

…でも、あそこで作られるエサは特別に美味しい。

あそこ以外では食べれないことをボクは知っています。

だからどんな仕打ちを受けようとも、あそこに居続けるんです。

―美味しい食事を食べる為に。

次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫