《MUMEI》

だから今更恨まれても、と思う。

でも友人情報では、彼は未だアタシに未練があるらしく、彼女にとってはそれがおもしろくないんだろう。

友人達は彼に恨みを言おうと言ったが、めんどくさいので止めた。

けれど……。

アタシは学校をサボって、彼女の学校の校門前に来た。

セーラー服の群れの中に、一人ブレザーの制服のアタシは目立つらしい。

通り過ぎる女の子達が、アタシを見てコソコソ話をしている。

そして群れの中で…一人、俯いた彼女を見つけた。

アタシは歩き出し、彼女の腕を掴んだ。

「きゃっ!?」

「おはよう。アタシのこと、忘れてないよね?」

彼女はアタシを見て、真っ赤に染まった。

コレは…忘れられていないんだろうな。

「ちょっと話があるの」

アタシはそう言って、彼女の腕を掴んだまま、歩き出した。

「ちょっ…ちょっと!」

そして近くの公園に来た。

時間帯のせいか、人はいない。

「離して!」

「いいよ」

アタシは彼女の腕を離した。

彼女はアタシから視線をそらし、バツの悪そうな顔をした。

「…文句言いに来たの?」

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫