《MUMEI》 「まあ…それらしいことかな? 一応言っておくけどアタシ、彼とは付き合っていないから」 それだけはちゃんと言いたかった。 「確かに告白されたけど、断った。その後、付き合いは一切無いから」 「知ってる…」 「あっそ…」 まあ知ってても、どうにかしたかったんだろうな。 …にしても、可愛い子だな。 女の子らしい女の子。 彼は何でこの子をフッて、アタシなんて好きになったんだろう? こんな無頓着で無表情な女を好きになるなんて、趣味が悪すぎる。 アタシだったら…彼女を選ぶ。 こんな子と付き合えるなんて、男にとっちゃ夢だろうに…。 「…ゴメンなさい」 彼女は俯いたまま、呟いた。 …一応、悪いとは思っていたんだろうな。 「うん、まあ、コレで終わりにしよう?」 「……うん」 彼女はボロボロ泣き出した。 思っちゃいけないけど…可愛いなぁ。 彼女は泣きながらも、顔を上げた。 「わたしを叩いて」 「…はい?」 しかし彼女の口からは、とんでもない言葉が出た。 「あなたをわたしは叩いた。だからあなたも叩いて、終わりにしましょう」 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |