《MUMEI》

…この子、見た目に反して結構行動的というか、直情的と言うか…。

涙を流しながらも、顔を上げて、眼を閉じた。

その一生懸命さも、可愛く思えてしまう。

「じっじゃあ…」

アタシは彼女に近付き、顔を覗き込んだ。

ああ…可愛い。

アタシだったら、絶対彼女を離さないのに…。

そう思っていたら、アタシは彼女を叩くどころか、

キス―をしていた。

彼女の涙の味がした。

「…っ!」

彼女は驚いて眼を開け、そして、

バチンッ!

…二度目だ。

「何するの!?」

「あっ、いや、つい…。可愛かったものだから」

殴られた頬を押さえながら、それでもニヤけてしまう。

「あっあなたって…!」

彼女は耳まで真っ赤になり、口をパクパクさせた。

そしていきなり、抱き着いてきた。

「―へ?」

「あなたって…どうしてそうなの?」

「そうって言われましても…」

「…ズルイ」

「うん?」

とりあえず抱き締め返しながら、アタシは彼女の言葉に耳をすませた。

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